これからの「お金」の話をしよう

(旧 システムトレードのススメ)

イントラデイデータの基礎分析

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前回コラム「トレーディングフロアにおけるAI」にて、取引執行AIの普及が日中の価格形成の歪みや効率化を促す要因となりうることに触れました。

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だからというわけではないのですが、一日の中で株式市場にどのような動き(バイアス)が発生するか把握しておいて損はないはずです。今回のコラムでは簡単な日中データの分析結果を紹介します。

 

◆検証要領
<対象銘柄>
TOPIX500
<観察期間>
2016年8月~2017年7月(直近1年間)
<タイムフレーム>
5分足
<観察方法>
各銘柄、各営業日について、自身の5分足のリターンを母集団としてZスコアを計算します。この処理によって各時間帯におけるトレンド除去後の上昇バイアス、下落バイアスを営業日別/銘柄別で同一条件で取り扱うことができるようになります。上記のスコアを用いて集計を行います。

 

◆結果
1.まず、直近1年分を全て集計した結果です。

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(1)図は時間帯別のZスコアの平均値です。プラスの時間帯は上昇バイアス、マイナスの時間帯は下落バイアスが掛かっています。もう少し分かり易くするために、これらの累積値をプロットしたものが(2)図です。この図を見ると、上昇バイアスと下落バイアスが繰り返し発生しているように見えます。


2.続いて時系列のプロファイル別に観察します。

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(3)図はそれぞれの月毎に集計した結果です。先ほどの直近1年間分全体の集計値も合わせてプロットしています。月毎にバイアスの発生の仕方が変わっており、さらにそのバラツキが大きいことから、(2)図で観察された周期的なバイアスは有意でない可能性があります。

ここで前場と後場に分けて考えると、前場のほうがバイアスが大きいことが分かります。さらに2017年4月と5月は比較的大きなバイアスが発生していることが分かります。この時期、前場で不可解な挙動を観察した人も多いのではないかと思います。今回の観察では何かそのような動きをキャッチしたのかもしれません。

 


今回の検証はあくまでも基礎レベルです。追加検証として、業種別や時価総額別に観察したり直近の騰落状況で分類したりすると何か発見があるかもしれません。またAIやアルゴリズムの影響を調査したい場合は、アローヘッド導入以前・以降などの結果を比較するのも面白いかもしれません。

なお今回の検証では、東証のTickデータを5分足に加工しています。東証のTickデータは1ヶ月当たりおよそ1400円でダウンロードできます。興味のある方は是非お試しください。