これからの「お金」の話をしよう

(旧 システムトレードのススメ)

戦略なのか戦術か

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よく見掛けるような題名ですが、自分の今考えていることが「戦略」なのか「戦術」なのかをしっかり理解しておく必要があります。戦略と戦術はそれぞれ多種多様な解釈が存在しますが、大まかに説明すると以下の通りです。

戦略:全体の目的を達成するために、どこにどれだけ人的・物的資本を投下するか決定すること

戦術:与えられた資本を使って局所的な目標を達成するための具体的手段

 戦略はマクロ的、戦術はミクロ的と解釈していただいて構いません。また戦略はマネージャーの管轄、戦術はプレイヤーの管轄であり、戦略は戦術の上位に存在する概念です。普段システムトレーダーの行っている「ストラテジー検討」とは、当然ながら「戦術検討」となります。ここで重要な点は「戦術検討」よりもまずは「戦略検討」に時間を割くべきということです。戦略なき戦術には意味がありません。

 

戦略検討とは、実のところその中身は非常に曖昧であり、決まったフレームワークが存在しません。MBA(Master of Business Administration:経営学修士)では戦略策定プロセスの講座がありますが、それをそのまま現実に当てはめることができるかと言うと、そんな簡単なものではありません。しかし最低でも以下のことは実施すべきでしょう。

(1)ビジョンの明確化

何のために投資をしているのか(お金が目的ではない、という方もいる筈です)。投資を通じて将来どのような姿になりたいのか、具体的な目標となる指標は何か、その程度はどのくらいなのか。

(2)自己分析とベンチマーク

自分の強みは何なのか(どの分野の知識が豊富か、どのくらい時間的余裕があるか、など)。競合相手にはどのような主体がどのくらいの割合でいるのか、それらの主体はどのような戦術を使い、どのくらいのリターンを上げているのか。

(3)シナリオの検討

(1)と(2)を踏まえた上で目標を達成するためにどのようなシナリオが考えられるのか。そのシナリオを達成するための課題やキーとなる要素技術は何か、それは自分の強みと合致するか。複数のシナリオが立案でき、その中から客観的に最適なものを選択できるか。

 

もしも戦術の一つとしてシステムトレードを選択したのであれば、相応のシナリオがないとおかしい筈です。単純に「年利100%という謳い文句を見つけた」というだけであれば、少々残念な気がします。ただでさえリソースの少ない個人投資家は、戦略を間違えた時点で取り返しのつかないことになるのです。

こんな面倒な検討をしなくともこの世界は結果が全てという人もいるかもしれません。しかし上級者ほど結果よりもプロセスを大事にするものです。なぜなら結果はランダム効果により上下に触れるものだからです。とは言っても上記はあくまでも理想論のため、参考として留意しておくくらいが丁度良いかと思います。