これからの「お金」の話をしよう

(旧 システムトレードのススメ)

AI投資(3)

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今回はAI運用を謳って世の中に出現したファンドを紹介します。

 

ここで紹介するファンドはいずれもAI運用に特化した中小ファンドです。ブリッジ・ウォーターやルネサンス・テクノロジーなどの超大手ヘッジファンドもAI運用を行っていますが、資金配分や分析手法など、その情報は全く表に出てきません。彼らに言わせると、AIは単なるデータマイニング手法であり目新しいものではなく、30年も昔から取り組んでいるそうです。中小ファンドほど資金繰りでニュースの一面を飾るために手法の一部を公開する傾向にあるようです。

 

<リベリオン・リサーチ(米)> 

世界で初めてAIに特化したファンドとして2007年から運用を開始しています。ベイジアンネットワークをベースとしています。運用開始から2015年までS&P500を年平均7%アウトパフォームするという素晴らしい成績を収めています。投資スパンは中長期であり、60銘柄~70銘柄のロングポートフォリオを組んでいます。

<セレベラム・キャピタル(米)>

リベリオンに引き続き、2009年に運用を開始しています。AIが戦略を探索し、その採用を判断するのは人という複合プロセスを採用しています。成績は良好のようで、運用資金は開始当初の1000万ドルから2億8000万ドルまで増加しています。

<キャスティリウム・キャピタル(英)>

2012年末から運用を開始しています。エキスパートシステムと呼ばれる手法を採用しています。人間の専門家がピックアップしたルールに対して決定木を構築する手法です。直近の成績は不明ですが、ファンド自体は存続しています。 

<KFLキャピタル(カナダ)>

2013年末から運用を開始しています。2015年にはNHKの特集「金融市場最前線」でもピックアップされました。「クリスタル」なる人工知能による予測で、14年には利回り30%を叩き出して注目を集めました。しかし15年の成績は▲12.4%、16年は3月まで▲17.4%と、直近では全く振るいません。

<ダーウェント・キャピタル(英)>

2010年頃にツイッター等のSNS情報に基づいて株価を予測する手法が注目を集めました。ダーウェントキャピタルは世界初のツイッター・ファンドとして2011年に運用開始しました。米インディアナ大学の先行研究を基にしており、ダウの騰落方向を86%で予測可能とのことでしたが、残念ながら12年半ばには運用を停止しています。

 

このようにファンドによって明暗が分かれる形となっています。AIに絶対的なエッジが存在するかどうか、これでは全く分かりませんね。