これからの「お金」の話をしよう

(旧 システムトレードのススメ)

第一章 仮想通貨による運用手法の現状 - 仮想通貨で始めるシステマチック・トレード

投資手法としての仮想通貨トレード

例えば、1000万円の資金を、従来の投資手法で運用することを考えてみましょう。

一例として、以下のようなポートフォリオが考えられます。

 

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十分なリスクを取った、上昇志向のポートフォリオです。この場合、年間の目標利回りは10~20%程度となります。

仮に、年間15%のリターンを獲得できたとすると、年間の投資収益は150万円となり、まずまずの数字のように思えます。

 

一方、資金が10万円しかない場合はどうでしょうか。

この場合、年間の投資収益は1万5千円となります。1万5千円の収益を上げるために1年間を費やすのは、賢明とは言えません。日雇いのアルバイトですぐに稼げてしまうからです。

では、どのような運用をすべきでしょうか?

 

もちろん個人の目標や趣向によりますが、一つの方法論として、全資産をリスク運用に回してしまうことが挙げられます。

最大限のリスクを取り、高いリターンを目指します。損失を被ってしまった場合、労働などの力技でカバーします。

こうして資金力を身に着けられるまで、最速でひた走る、という方法です。

 

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危険な思想のように聞こえますね。しかし、資金の少ないときに自分の裁量でリスクテイクを行うことは、個人投資家に許された最大のメリットであり、かつ合理的な行動です。こちらの「運用目標」の記事でUKIも言及しています。

 

問題は、このハイリスク運用として仮想通貨トレードはマッチするのか?ということです。


仮想通貨トレードの現状

仮想通貨市場において、収益を得るための手法には、以下のようなものがあります。これらは総じて投機的です。

  • トレーディング(スキャ・デイトレ・スイング)
  • Buy & Hold
  • ICO投資
  • レンディング
  • マイニング(これだけは投資収益でなく事業収益のイメージ)

 

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これら全てにおいて、仮想通貨全体の規制リスク、通貨ごとの変動リスク、さらに個別の取引所リスクなどが内包されています。

レンディングのような、「貸出して利息を得る」というような一見安全そうな運用方法でさえ投機的になってしまうのは、このためです。

 

全体としてリスクが高すぎるので、投資と呼べる代物ではありません。仮想通貨による運用は、すべて「投機である」という認識を強く持ちましょう。また、資金がゼロになる覚悟を事前に持っておきましょう(そうしないと運用の途中段階でのドローダウンに耐えられなくなり、必ず失敗します)。

 

そして、そのリスク故に、大きなリターンを得られる可能性も秘めています。現状では、「保守的な運用をせざるを得ない大口のプレイヤー(例えば年金機構など)」は参入できません。そのため、非効率性や歪みが生じています(実際に、UKIはレガシーなブレイクアウトの手法で1か月で400%のリターンを得ました)。

 

まずはリスクとリターンを正しく認識し、自身の目標や資産状況に応じて投じる資金の幅を選択する必要があります。


仮想通貨市場のトレーダーたち

上述の運用手法の中で、本連載ではトレーディングに焦点を当てています。トレーディングには以下のようなメリットがあります。

  • 初期コストを必要としない(特別な機材を必要としない)。
  • 少額の資金でリターンを見込める(レバレッジが存在する)。
  • 上昇相場以外でもリターンを見込める(ショートできる)。

 

これらのメリットを享受すべく、大勢の参加者が参入しています。

トレーディングは、基本的に参加者同士による利益の奪い合いです。誰かが利益を得たときは、誰かは損失を出しています。

 

そのため、初心者には非常に厳しい戦場となります。自分が参入したとき、自分以外の参加者全員が、自分より経験豊富なプレイヤーだからです。

 

何も考えずに参加すると、まず間違いなく退場(=資金ゼロ)に追い込まれるでしょう。これは至極当然のことで、テニスの初心者がいきなりプロ・アマ混合のリーグ戦にエントリーしているようなものだからです。

 


一方で、仮想通貨市場で継続的にリターンを上げるトレーダーたちが存在します。彼らは、何となく売ったり買ったりしているわけではありません。何らかの根拠に基づいた指標を頼りにトレードを行います。

例)
・移動平均線、MACD、RSI、ストキャスティック、などのチャート指標
・経済指数や雇用系指数、などのファンダメンタルズ系の指標

勝ち続けるトレーダーは、「よい指標(=実際の市場とマッチしている『勝てる指標』)」を知っています。彼らは、バックテスト(次章で詳しく説明)やトレードの実践から得られる経験則により、指標の動きと実際のエントリータイミングに修正を加え、リターンの最大化に努めます

 

また彼らは、明確なトレードルールを持っています。例えば、自分の意に反して相場が逆行した場合、ルールに従って躊躇なく損切りします。なぜなら、そうしないとより損失が膨らんでしまうことを、経験により知っているからです。

 

これらの知識や経験則は、初心者が一朝一夕で身に着けられるものではありません。テニス同様、上達するためには正しい理論の習得と反復練習が不可欠です。

 

ですが、初心者の弱点のうちのいくつかを、強制的に克服してしまう手法があります。それが、システムトレードです。


仮想通貨トレードにおけるシステムトレード

システムトレードでは、トレーダー自身の裁量を一切排除し、ルール通りにエントリー&決済を行うことを義務付けるものです。テニスの例で言えば、矯正器具をつけてプレイするようなイメージです。

 

システムトレードとは

  • 過去のデータで優位性を検証できたルールを利用し、売買を行う。
  • トレードの際、人間的な判断を排除する。
  • 必ず、ルールに則ったトレードを行う。
  • プログラムで自動執行するケースが多い。

 

現在の仮想通貨トレードの分野では、「ボット」と呼ばれるプログラムによる自動売買が盛んに行われています。これは、システムトレードにおけるエントリー部分を自動化したものです。


値動きを監視しながら、一定のルールを満たしたときに自動で買い注文または売り注文を発注します。例えば、以下のようなタイミングでエントリーをするには、プログラムを組まざるを得ません。

例)
・日中の値動きを常に監視して、最適なエントリータイミングを見つける。
・数秒~数ミリ秒の間に何度も注文を繰り返す。

しかし、エントリールールの作り方によっては、ボットでなくとも実行できます。本連載では、なるべくシンプルなルールで、ボットを必要としないルールを提案します。

 

 

前置きが長くなりましたが、次回はようやく「システムトレード」に焦点を当てて、その思想を説明していきたいと思います。

 

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